作成日：2025/07/03

悪魔の代弁者のレッドチーミング

レッドチーミングは、組織の戦略や計画に対して意図的に反対の立場から批判的検証を行う手法です。経営の将来シナリオにおいて、この手法は極めて重要な役割を果たします。

レッドチームは「敵対者」の役割を担い、既存の戦略や前提に対して徹底的に疑問を投げかけます。これは単なる批判ではなく、盲点を発見し、リスクを特定し、より堅牢な戦略を構築するための建設的なプロセスです。

前提の検証: 経営陣が立てた将来予測の前提条件を一つずつ検証します。例えば、市場成長率の想定、競合の動向、技術革新のスピードなどについて「本当にそうなるのか」を問い続けます。

最悪ケースの想定: 楽観的なシナリオに対して、意図的に悲観的な視点から代替シナリオを作成します。経済危機、主要顧客の離脱、規制変更、サイバー攻撃など、様々な脅威を想定した検証を行います。

競合分析の再検討: 既存の競合分析が甘くないか、新たな脅威となる企業や技術を見落としていないかを厳しく検証します。特にディスラプティブな変化の可能性を重視します。

レッドチーミングは通常、経営戦略の策定チームとは独立したメンバーで構成されます。外部コンサルタントや他部門の専門家、時には取締役会メンバーが参加することもあります。重要なのは、既存の戦略に感情的な投資をしていない客観的な視点を持つことです。
つまり、シナリオプランニングなどで4つのシナリオを策定してもどれもが外れる可能性があります。そのようなリスクに備えて、意図的に最悪のシナリオを準備することにによって、不確実性に対処する手法といえます。

この手法により、企業は戦略の脆弱性を事前に発見し、リスク対策を講じることができます。また、意思決定者に多角的な視点を提供し、より現実的で実行可能な戦略の策定を支援します。

レッドチーミングは批判のための批判ではなく、より強靭で適応力のある経営戦略を構築するための重要なツールとして位置づけられています。