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生成AIコラム
作成日:2025/08/03
生成AIがExcelファイルを苦手とする理由は

 もともとの私の質問はClaudeに関するものなのですが、生成AI全般的な話として理解していいと考えます。

(私の質問文)
 ClaudeはExcelファイルの読込は弱いと思いますがどうですか

(Geminiからの回答)
Claudeをはじめとする大規模言語モデル(LLM)がExcelファイルを扱う上での能力には、いくつかの重要な制約があり、「弱い」と感じられる場面が確かに存在します。

その理由と、具体的な得意・不得意、そしてどうすればうまく活用できるかを詳しく解説します。


 

なぜExcelファイルの読み込みが「弱い」のか?

 

根本的な理由として、LLMは人間のようにExcelアプリケーションを操作しているわけではないという点が挙げられます。ユーザーがファイルをアップロードすると、システムは以下のプロセスを経てLLMに情報を渡しています。

  1. テキスト化(パース): Excelファイル(.xlsxなど)の複雑な構造から、LLMが理解できるテキスト形式(多くはCSVやMarkdownテーブルのような形式)に変換します。

  2. プロンプトへの挿入: 変換されたテキストデータが、あなたの指示(プロンプト)と共にLLMに入力されます。

この「テキスト化」のプロセスで多くの情報が失われるため、弱点が生じます。


###具体的な弱点となりうる点

  1. 書式・レイアウト情報の欠落

    • セルの結合: 結合されたセルは正しく解釈されず、データ構造が崩れる原因になります。

    • 文字色・背景色: 「赤色のセルを数えて」のような指示は、色情報がテキスト化の段階で失われるため実行できません。

    • グラフ・図形: グラフや画像、図形は認識されません。これらは完全に無視されます。

  2. 数式と計算結果の混同

    • LLMが見ているのは、多くの場合、数式によって算出された「結果の値」です。=SUM(A1:A5) といった数式そのものではなく、その計算結果である 150 という数値を読み込んでいます。

    • そのため、「どのセルを参照して計算されているか」といった、セル間の関係性を理解するのは困難です。

  3. 複数シートの扱いの限界

    • デフォルトでは最初のシートしか読み込まない、あるいは全シートを無理やりテキスト化してしまい、どのデータがどのシートに属するのか分からなくなることがあります。

    • 「Sheet1のA列とSheet2のB列を比較して」といったシートをまたいだ複雑な指示は苦手です。

  4. 膨大なデータ量の制約

    • LLMには一度に処理できるテキスト量の上限(コンテキストウィンドウ)があります。数万行に及ぶような巨大なExcelファイルは、全文を読み込むことができず、途中でデータが途切れてしまいます。

    • 結果として、ファイル全体を俯瞰した分析はできません。

  5. ピボットテーブルやマクロ

    • ピボットテーブルのようなインタラクティブな要素や、VBAマクロは実行・解釈できません。静的なデータテーブルとしてしか認識されません。


 

逆に対応が得意なこと

 

一方で、以下のようなシンプルなタスクであれば、Excelファイルを直接アップロードしても比較的うまく機能します。

  • 単純な表形式データの分析: 1枚のシートにきれいにまとめられた、書式設定の少ないシンプルな表の読み取り。

  • データの要約: 「この表の売上の合計と平均を教えて」といった、読み取ったデータ範囲内での簡単な集計。

  • 傾向の把握: 「カテゴリ別の売上を降順でリストアップして」といった、データの並べ替えや分類。

  • 文章の生成: 表データを基にして、報告書の文章を作成させるなど。


 

【重要】実用的な対処法とベストプラクティス

 

では、どうすればLLMでExcelデータをうまく扱えるのでしょうか。以下の方法が非常に有効です。

  1. CSV形式に変換する

    • 最も確実で推奨される方法です。 CSV(カンマ区切りテキスト)は、書式や数式、グラフといった余分な情報を削ぎ落とした純粋なテキストデータです。

    • LLMはCSV形式のデータを非常に得意としており、データの誤認識が格段に減ります。分析したいシートをCSV形式で保存し直してからアップロードするのが最適です。

  2. データを整形する

    • アップロードする前に、不要なシート、結合セル、空の行・列、複雑な書式は削除し、シンプルな表形式に整えましょう。

    • ヘッダー(列のタイトル)を分かりやすくしておくことも重要です。

  3. データ分析機能(Code Interpreter)を使う

    • Gemini (旧Bard) の一部機能やChatGPTの有料プランに搭載されている「データ分析機能」は、単なるテキスト化ではなく、Pythonのコード(特にPandasライブラリ)を裏側で実行してファイルを分析します。

    • これにより、数式の解釈や複数シートの操作、グラフの生成など、本物のExcelに近い高度な操作が可能になります。複雑なデータ分析を行いたい場合は、この機能を持つAIを使うのが現時点での最適解です。

 結論

 ご認識の通り、Claude(および多くのLLM)は、複雑なExcelファイルをそのままの形で正確に読み込むのは苦手です。その原因は、ファイルを一度シンプルなテキストに変換する過程で、Excelが持つ豊かな情報(書式、数式、グラフなど)が失われてしまうためです。

簡単な表の要約程度なら可能ですが、本格的な分析を期待する場合は、CSVに変換して渡すか、Pythonコードを実行できるデータ分析機能を持つAI(Gemini AdvancedやChatGPT Plusなど)を活用するのが賢明なアプローチと言えるでしょう。